姉に敵う弟なんか存在しねぇ!

いや、別にそんな事は実際問題ないのだが、鑢家においてはそんな事もあるようだ。

 

今回の敵は「姉」である。

 

虚刀流を教える必要がないほどに天才的な才能を所有している姉、鑢七実。

 

ただ、体が病弱であるというだけ。それ以外は世界最強である。
(あの凍空一族をほぼ全滅させた程なのだから)

そんな姉に鑢七花は負ける。凍空粉雪ちゃんに連続して負ける。

 

さすがにこの場合においては、仕方がない事なのだが、結果は結果なのでやっぱり七花は落ち込む。

 

20年くらいずっと修行を続けていたのだ。
(姉は「見ていた」だけである)

ワンピースのルフィだって「3年鍛えた俺の技を見ろ!」ってくらいだから、やはり20年は長い。

そんな20年の努力を一笑に付すのが鑢七実である。

 


「結果が全て」なのは確かだが、それを平然と言うのには心が痛む

それが現実である。

 

「努力をしていれば影で誰かが見ていてくれて、いつか報われる時が来る」なんて事はない。

「努力をすればするほどに成長する」なんて事もない。

 

「人間は努力を建前上は尊ぶが、結果としては結果しか見ない」影で誰がどれだけブラック企業によって苦しめられていても、顧客が大切にするのは迅速かつ正確丁寧なサービスなのである。

だから、「結果が全てである!」と平気で言う事ができる奴は人の痛みを知らないバカ野郎だ!なんて批判をする事は私にはできない。

 

私だって努力はしているし大切にしているが、結局見るのは結果なのだから。そんな嘘くさい綺麗事は言えない。

 

だからと言って、懸命な努力を天才性において容易に打ち砕かれるのは、やはり心が痛む。

 

要は私の中に二つの心があるのである。そしてそれは不自然な事ではない。

姉殺しで最強になる、という二律背反

世界最強は姉である。

七花は世界最強になりたい。

よって、七花が世界最強になるためには、姉を打倒しなくてはならない。

 

単純な論理だが、残酷な事実である。

 

人間は相反する二つの心を同時に所有する事はできるが、相反する二つの結果を同時に手に入れる事はできない。

 

なんとも残酷である。

 

だから結果として鑢七花は姉である鑢七実を殺さなくてはいけなかった。

 

姉から教わった必殺技の弱点を改善した結果、姉を倒すという結果に繋がった。


目的を達成するためには、何を捨てればよいのか

目的を達成するために。

 

この作品で言うならば、鑢七花は最強のために20年という時間と人間の情緒と姉を捨てた。
(情緒に関しては少しずつ物語進行中に手に入れているが)

何かを手に入れるためには何かを捨てなくてはならない。

 

時間は有限であるし、物質もまた有限である。

 

限界がある、という事は取捨選択をせねばならないのである。

 

鑢七花にでも、誰にでも当てはまる事なのだが、「人生とは取捨選択の連続」なのである。

 

そこに迷って、いつまでも立ち止まっている人間が何かを達成する事はできない。

 

最終的には躊躇なく捨てる事ができる人間が勝利の可能性をつかむのである。

 

そんな残酷だが真実であり大切な事をこの巻は教えてくれた。